icon 2013.4.24

文月悠光×福間健二◆POETRY FOR LIFE(第3回)

ミディアム・テンポ

福間健二

 

会話でも文章でも

恋のために

遠まわりして

さわりたい手をかくしている

この箱、どうなるのかな。

容積、温度、速さ。

推測とたくらみが

それぞれおなじ破滅の引き算を用意して

中くらいの板、その痛む色

ミディアム・テンポで

あかるく歌いながら

鬼になる。

色には不自由しないけど

大風の吹く夜も、外。

 

 

 

●Profile

福間健二

福間健二

1949年、新潟県生まれ。詩人・映画監督。高校時代から文学と映画に熱中。2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と歴程賞をダブル受賞して大きな話題になる。そのほかの詩集に、現代詩文庫『福間健二詩集』、『秋の理由』、『侵入し、通過してゆく』(すべて思潮社)など。詩論集『詩は生きている』、映画『岡山の娘』、『わたしたちの夏』など。映画の新作『あるいは佐々木ユキ』が公開中。

『あるいは佐々木ユキ』ブログ:http://sasakiyuki.doorblog.jp/

ツイッター:https://twitter.com/acasaazul

© Toshio Hirayama