TOP-mukaisan 042 copy
icon 2013.4.6

向井秀徳(ZAZEN BOYS)インタビュー◆4/10「HERE AND THERE」出演の前に

――プレイする環境によっても全然違うでしょうからね。小さいライブハウスと大きな野外フェスでも違うだろうし、同じようなハコでも地方によって違ったりもするだろうし。

 

向井そうですね。同じ地方でも、半年前に行ったときの状況と、半年後の状況でまた違いますからね。よくね、ライブツアーで地方に行ったりすると、地方の媒体から取材を受けることもあって、そういうときに大体言われるのが、例えば、香川だったとしたら、「香川のライブキッズの印象は?」とか、そういうことをよく聞かれるんですけど、一概には言えないですよね。

 

――確かに、それはそうですよね。

 

向井「北海道の人たちはおおむねこんな感じ」とかね、一概には言えないですね。まあ、大体地方の人が聞いてくるときって、「最高ですよ」って言ってもらいたいから聞いてくるんでしょうけど、そこで「今回は全く盛り上がりませんでしたね」とか言ってもね(笑)。

 

向井秋徳

 

――それこそ、日本とアメリカ、ヨーロッパとか、国民性の違いまで行けば話は別でしょうけど、当然お客さん一人一人感じ方が違うわけで、一概には言えないですよね。

 

向井そうなんですよ。お客さんと直接対峙することによって、一人一人感性が違うってことを確認したいって気持ちもありますからね。やっぱり、自分が曲を作って、「俺的にはこれかなりグッと来てます」と、「このグッと来てる感じを誰かと共有したい」と、そういう気持ちは強いもんで、だから作品を作ったり、ライブをするわけですけど、かといって、「私がこの曲に込めた想いをこういう風にわかってくれ」と、「私のメッセージを理解してくれ」っていうつもりではないんですね。単純に、このグッと来る感じっていうのを共有したいだけですね。

 

――お客さん一人一人の感性が違ったり、変化したりするように、もちろん向井さんご自身の感性も変化をするわけで、ライブで楽曲が変化していくことも当然と言えば当然ですよね。

 

向井でも、私が観客の立場だとしたら、レコードのアレンジに忠実なヒット曲も聴きたいですよ(笑)。コンサート会場でVAN HALENの“JUMP”のあのイントロが始まったら、私も周りの観客と同じように吠え、同じようにこぶしを振り上げますよ。ただ、ZAZEN BOYSをやる側からすると、そういうことではないかもしれないですね。まあ、“JUMP”とかジョークでやったりしてましたけどね(笑)。うろ覚えのコード感で。

 

――「チャッ、チャッ、チャッ、チャッチャッチャッ」ってリズムだけ合わせて(笑)。でも、そういうエンタテイメントな部分、「お笑い」と言ってしまうと言い過ぎですけど、コミカルな部分も今のZAZEN BOYSの魅力にはなってると思います。もちろん、演奏だけでもものすごくかっこいいんですけど、もはやそこは前提になっていて、それ以上の広がりがあるというか。

 

向井笑かそうとは思ってないですけどね(笑)。まあ、ガチガチに眉間にシワを寄せてやるっていうタイプでもないんでですね、私としては。シリアスにポーズを決めることもできるとは思うんですよ。トム・ヴァーレインとか、憧れですからね。ギターの音も冷たくて、むちゃくちゃかっこいいですけど、私がやったらそれこそギャグになりますよね。

 

――つまりは、向井さんの人間性がそのままZAZEN BOYSの音楽なりステージになってるっていうことかもしれないですよね。トム・ヴァーレインには会ったことないですけど、あの人のシリアスな人間性がそのまま音楽になったのがTELEVISIONで、向井さんの場合はシリアスな面もコミカルな面もあるから、今のZAZEN BOYSのバランスになってるのかなって。

 

向井どうなんでしょうね……ただ、あれっすね、決して気を抜いてるわけではないですね。ライブに関しては必死こいてやってますから。まあ、途中で酔っ払ってくると楽しくなってきたりはしますけど、普通に(笑)。