icon 2013.5.8

文月悠光×福間健二◆POETRY FOR LIFE(第5回)

オブセッション

福間健二

 

愛じゃないとしても

オブセッション、終わらない。

土のなかに埋められても

春の体温と揺れる脚線を感じてしまう。

痛いってこと

痛いけど、やめないでほしいってこと。

茶色から灰色へ、灰色から青へ

どこからはじまったとしても、だれかが

天使になってこの世から消えるための

まだつめたい海を

泳いで帰ってきた。

そう、けさの「中くらい」は

体のしずくで地面をつくりなおしている。

夢中だから、風邪はひかない。

 

 

 

●Profile

福間健二

福間健二

1949年、新潟県生まれ。詩人・映画監督。高校時代から文学と映画に熱中。2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と歴程賞をダブル受賞して大きな話題になる。そのほかの詩集に、現代詩文庫『福間健二詩集』、『秋の理由』、『侵入し、通過してゆく』(すべて思潮社)など。詩論集『詩は生きている』、映画『岡山の娘』、『わたしたちの夏』など。映画の新作『あるいは佐々木ユキ』が公開中。

『あるいは佐々木ユキ』ブログ:http://sasakiyuki.doorblog.jp/

ツイッター:https://twitter.com/acasaazul

© Toshio Hirayama