icon 2013.6.24

文月悠光×福間健二◆POETRY FOR LIFE(第11回)

ジャスティス

福間健二

 

言葉をさがす妹たちを

びしょぬれにした雨があがって

とりあえず、ここが法を破っていい門の前だ。

「力を使う者が感じない歯車になって

違法なことをしているときは」

行方不明の首たち、そのままそうして

見つけられるのを待っているだけではだめだよ。

だれがどうずるいのか。だれがどう弱いのか。

ビニール傘かわいてないし

狂わない秤と剣、まだやってこない。

そしてまた雨になる。

だれの息子でもだれの兄でも

だれかの都合で濡れる装置じゃないってこと

鬼になって証明するときだ。

 

 

 

●Profile

福間健二

福間健二

1949年、新潟県生まれ。詩人・映画監督。高校時代から文学と映画に熱中。2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と歴程賞をダブル受賞して大きな話題になる。そのほかの詩集に、現代詩文庫『福間健二詩集』、『秋の理由』、『侵入し、通過してゆく』(すべて思潮社)など。詩論集『詩は生きている』、映画『岡山の娘』、『わたしたちの夏』など。映画の新作『あるいは佐々木ユキ』が公開中。

『あるいは佐々木ユキ』ブログ:http://sasakiyuki.doorblog.jp/

ツイッター:https://twitter.com/acasaazul

© Toshio Hirayama