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icon 2014.12.24

ライムベリー「MAGIC PARTY VOL.2」ライムレポート――復活後初のワンマンはライク・ア・遊園地!「対戦相手は全年齢」のパーティー・ラップで魅せた三者三様のいま

アイドルラップユニット・ライムベリーの約1年4ヶ月ぶりのワンマンライブが、12月21日(日)、歌舞伎町のライブハウス・新宿BLAZEで開催された。久しぶりかつ3人体制では初のワンマンとあって、開演前から会場は熱気が立ち込めている。SEの90年代日本語ラップがさらに会場の温度をじりじり上げていると、明かりが落ちて、ステージのスクリーンに映像が映し出される。ネットにも上がっている「ENTER THE MAGIC PARTY! ライムベリー 復活からワンマンライブへの道」だ。これだけでもう歓声が上がり、前列では映像の中のライブに全力で反応。「IN THE HOUSE」のDJ HIKARUの歌パートでは合唱が起こっていた。

 

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そして、映像が終わるとついにDJ HIKARUが登場。「WE ARE BACK!」のイントロが流れ出し、DJ HIKARUが「待たせたな!」と言い放つと、MC MIRIとMC HIMEも「待たせたな!」の台詞とともに登場。最初から気持ちのたっぷりこもったラップを聞かせてロケットスタート。そこから代表曲の「SUPERMCZTOKYO」「IDOL ILLMATIC」を連発し、さらに会場を盛り上げる。続いて遊園地が題材のリリックとディスコ・ビートが楽しい「WE DID IT」。曲中では「かざした剣/一刀両断」に合わせてファンから剣が渡され、ドラゴンをばっさり斬って倒すという寸劇もあり、まさにライムベリー自体が遊園地のよう。そして、王子役のMC MIRIとお姫様役のMC HIMEがキス(のフリ)をしてなんかもう「キャーッ!」という気持ちにもなったところでMCがあって一段落。

 

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明けての曲はミドルテンポでジャジーなトラックの「ウィンタージャム」。スチャダラパーの「サマージャム’95」を引用した掛け合いも楽しいが、MC MIRIがラップしている時にはMC HIMEが白熊のぬいぐるみのぴーちゃんを動かして遊んだり、逆にMC HIMEの時にはMC MIRIとDJ HIKARUがリリックを合わせて会話しているようなフリをして遊んでいたりでとてもかわいい。そして、DJ DECKSTREAMとの曲でストリングスの映えるハウス・トラック「Bright Light」、「現場にいるみんながメンバー」のリリックが胸に染みる「世界中にアイラブユー」、日本語ラップの地元レペゼンなリリックを思わせる「フロム東京」と続き、心地いい温度とグルーヴが保たれていく。

 

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そして、2MCが退場して、ステージにはDJ HIKARUのひとりだけになり、ソロ曲のパートの開始。「こんにちは。コーラス部部長のDJ HIKARUです」と挨拶すると、コーラス部分の歌い方を指導して、「Ich liebe dich(HIKARU MIX) 」へ。思春期の戸惑いを描いた詩を、DJ HIKARUがビートに乗せて朗読。淡々とした中にも気持ちがこもっていてグッとくる。次はパーカーに衣装を変えたMC HIMEが俯きながら再登場して「クオリア」が始まる。アンビエントなトラックの上で世界に対する悩みや失望がラップされ、3番になると顔を上げるとともに世界を再び肯定するようなリリック。普段のかわいらしいキャラとは逆のイメージのラップをやり切り、会場も息を呑む人が多かった。そんな中、MC MIRIが現れる。彼女のソロ曲「サンライト」は、Fatboy Slim「Praise You」ネタのトラックに「世界をひっくり返す」という明るく挑むようなリリック。見ているとライムベリーの幹だなという感じがする。それぞれのソロが終わるとDJ HIKARUが歌う胸キュンなテクノ・ポップ「きみとぼく」へ。「ひかるー!」というアイドルのライブらしい合いの手も打ったところでMCが入った。ソロ曲の難しさや緊張したという話の中に、MC HIMEがソロ曲の沈んだ感じを「私が書いた歌詞じゃないから!」とフォローしようとしてMC MIRIから突っ込まれる場面も。

 

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ワンマンならではの見せ場を味わった後は、再びアッパーな曲が会場にドロップ。スキルフルなラップの「プレイグラウンド#1」、The Chemical Brothers「Hey Boy Hey Girl」ネタで「MIRIちゃん!HIMEちゃん!HIKARUはDJ!」と替え歌する「LET IT GO」から始まっていき、「まず太鼓」 「アンサーアンサー」「MAGIC PARTY」という怒涛のディスコ攻めで会場の熱気は頂点に上り詰め、本編は終了。しかし、ファンから「まだまだパーティー続けるぞー!!」という声が上がって、アンコール。もちろん、それに応えてライムベリーが登場し、ファンからの花束を受け取ると、メンバーから感謝の言葉があった。MC MIRIは辛いこともあったがやっぱりファンに支えられているし、やっていて良かったということ、MC HIMEからは実はグループに必要なのか悩んでいたけど素のままの自分でいいと気づきいたことと「これからの人生もラップに捧げます!」という宣言、DJ HIKARUからは友人や家族への感謝と謎のギャグの披露があった。

 

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強力すぎるギャグの余韻も覚めやらぬままアンコールの曲が始まる。「子供の手品師と魔法の種の話」というお話の朗読があって「Ichliebedich(2MC MIX)」。そして、「今夜はブギーバック(smooth rap)」 のカバーからの「IN THE HOUSE」に気持ちが高まっていく。そこからデビュー曲「HEY!BROTHER 」「IDOL ILLMATIC」「R.O.D.(HARD)」で会場は再び汗まみれのパーティー状態に。The Beastie Boys「Fight For Your Right」のカバーに嬉しい驚きを感じ、「世界中にアイラブユー(PARTY MIX)」 「END MUSIC FOR A MAGIC(C U AGAINpt.2&C U AGAIN)」でピースな雰囲気に包まれてライブは締めくくられた。

 

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「MAGIC PARTY VOL.2」では、メンバーのパフォーマンスや音楽性の幅が広がり、「対戦相手は全年齢」のパーティー・ラップとして一段と楽しいものになっていたし、いくつもの可能性が見えたと思う。まずメンバーそれぞれのキャラクターが元々持っていたキャラに加えて、色々な側面を垣間見ることができた。MC MIRIはパーティーを支えるタフさ、MC HIMEはネガティブなことも出していける表現力、DJ HIKARUには歌や朗読にギャグなどヒップホップ以外の要素を持ち込める柔軟さがある。そして、そのキャラを立てるために楽曲もよく考えられている。特にソロ曲でのそれぞれの内面をテーマにしたようなリリックの曲たちは、アイドル・ソングとして面白い。近年のアイドル・ソングに個人的な悩みや葛藤を思わせるような歌詞の曲は少なくないが、そこにヒップホップによくある個人の悩みを劇的な物語として曲にする手法を使って対応するのは新鮮だった。それこそNasの『Illmatic』のように。ライムの果実には様々な可能性が詰まっている。未来は明るい。揺るぎない。(滝沢時朗)

 

※ライムベリーの復活後初ワンマン直前のインタビューはこちら

※ライムベリーとCherry Brownの座談会はこちら

 

 

 

●Information

◆HONDALADY presesnts (IN A)Modelroom
LIVE IN POWER STATION

 

2014年12月27日(土)@高円寺HIGH

開場/開演16:00

チケット:前売2500円/当日3500円(別途ドリンク代) ※ほか、地方割、学生割もあり

 

出演:ライムベリー、HONDALADY、GalapagosS、The くそGIGY、嶋原ルルル(OA)

総合司会:あかなめ (MISSILE CHEWBACCA)

 

 

◆INTERESTING!!

 

2014年12月28日(日)@笹塚ボウル

開場16:00/開演17:00

チケット:前売3800円/当日4200円

チケット申し込み:http://peatix.com/event/61271

 

出演:ライムベリー、Especia、NATURE DANGER GANG、LEF!! CREW!!!、バンドじゃないもん!、Vampillia、ゆるめるモ!、BELLRING少女ハート、Fragment、DOTAMA、てんちゃんとあずちゃん、バクバクドキン、K∑ITO、加奈子(禁断の多数決)、皮茶パパ

VJ:ホンマカズキ、KASICO

フリマ:ハヤカワ五味、かとうれい、ふせでぃ、rei nakanishi、星なゆた(あヴぁんだんど)、毒kinokopink

and more!!

 

 

公式ブログ:http://yaplog.jp/rhymeberry

公式Twitter:https://twitter.com/rbstko