「ひとつのことをやるのに、ふたつの側面を持っているっていうのが好き」

――だうみさんを嫌う人って、どんな人なんでしょう。

 

しずくだ：結構、女の人に嫌われますね。友達の友達とか。

 

――なんで嫌われるんですかね。だうみさん自身が、人の好き嫌いが激しいとか？

 

しずくだ：たぶん、根はそうなんですけど、そうじゃないようにしようとしていますね。意識的なのか無意識的なのかわからないですけど。「どうして、だうみの周りはいい人ばかりなんだ」ってよく言われるんですけど、いい人じゃないと私を受け入れてくれないっていうだけの話だと思うんですよね。バンドもそういう人しか揃えていないし。基本的にみんな否定しないです。性格が悪いから、まわりに性格のいい人が集まるんだと思います。

 

――だうみさんは、自分のどういうところが性格悪いと思うんですか？

 

しずくだ：PVにわざわざメタファーを仕込むところですかね(笑)。PVのなかで花を持っているじゃないですか。あれは、青山フラワーマーケットにおける仏花なんですよ。もう、「死ね！！」っていうね(笑)。

 

仁郎：それ、誰もわからんわ(笑)。

 

しずくだ：ひとつのことをやるのに、ふたつの側面を持っているっていうのが私は結構好きなんです。内田百閒とか普通に読んでるとただ面白いのに、メタファーとかがいっぱいあるし、夢に出てきたらめちゃくちゃ怖いっていう。そういうのを、しずくだプロジェクトでは意識してますね。

 

仁郎：普通の人だと、それをわざわざ音楽に隠してやる必要が特にないんですよ。ストレートに言えばいいだけだから。

 

しずくだ：ストレートに言っても、伝わる可能性があまりにも低いんです。私を応援してくれてる人がハッピーで、普通にその対象以外にはエンターテイメントとして楽しんでもらえることが前提で。

 

 

――あくまで、ピンポイントでダメージを与えたいと。

 

仁郎：かっこよすぎかよ(笑)。ハッピーなパーティーの合間に影から吹き矢で攻撃する、みたいな。

 

――壮大な罠を仕掛けている感じですよね。だうみさんが売れれば売れるほどダメージもでかくなっていく。

 

しずくだ：だから、たまにアイドルのライブにも出るんですけど、「しずくだうみがブスだった」でもなんでもいいから書いて拡散してくれって思うんですよ。言葉にインパクトがあればあるほど、Twitterでファボしたりリツイートしたりで、じわじわじわじわ広がっていくから。自分の曲は爆発的に広がることはないと思ってるので、そうやって少しずつ攻めていきたい。

 

——それって復讐みたいなものだと思うんですけど、だうみさん自身はどこまでいったら満足できるんですかね。

 

しずくだ：うーん…どこまでなんだろう。

 

仁郎：だうみさんが本当の意味で幸せになったら終わるんじゃないですか？

 

しずくだ：そういうわけではないですね。

 

――例えば、複数いる相手が全員「私が間違えていました」と悔い改めるとか。

 

しずくだ：悔い改めてなんか欲しくないですね。そこに興味はない。っていうか、変わりようがないんですよね。例えば、一度「別れよう」ってなった人に「どこが悪かった？直すから」って言われても、もうムリじゃないですか。それと同じですよ。

 

仁郎：別に別れる人のことなんて放っておけばいいのに、わざわざ追いかけてダメージを与えようとするのかが、いつもわからないんだよね。普通は別れたい相手と嫌なことがあったら関わり合いたくないと思う。

 

しずくだ：だって、嫌でも目に入ってくるんだもの。