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icon 2015.8.14

A,B,CIVILMAGAZINE 第2回 清水えり子(zazi)×ホンダチヒロのデザイナー対談――クリエイティブ集団・CIVILTOKYOが注目アーティストにインタビュー

「A,B,CIVILAMAGZINE」は、私たちCIVILTOKYOのアートワーク連載と注目のアーティストへのインタビュー連載のふたつの連載企画です。今回は注目のアーティストへのインタビュー連載。記念すべき初回にご登場いただきますのは、ファッションブランド「zazi」のデザイナーである清水えり子さんと、デザイン事務所「キギ」所属のホンダチヒロさんのお二人です。お二人はユニット「za本」としても活動されています。

 

初めてお二人にお会いしましたのは、za本として出品されていたTOKYO ART BOOK FAIR 2014でのこと。たくさんの出品者とたくさんの来場者によって熱気にあふれた会場のなか、私たちも大変多くの方々とお話しさせていただくことができました。しかしながら、実際に会場に行かれた方ならなおさらお分かりになることと思いますが、熱心に見ようとすればするほど、その膨大な質量にほとんどの方々との出会いの記憶は段々と薄れていってしまうのが正直な話でもありました。

 

そんな中でも私たちの記憶に鮮明に刻まれていたのがこのお二人。

 

作品が魅力的なことはもちろんのこと、ある種雰囲気に迎合しない凜としたお二人の佇まいが非常に印象的でした。

 

今回のインタビューではお二人のユニット「za本」を始めるきっかけ、お二人それぞれのバックグラウンドについてお話を伺うことができました。もともと共通の友人を介して顔見知り程度であったお二人。一緒に活動するようになった流れも、馴れ合いではなくお互いの分野で高め合っていく中での過程であったというのが、なんともストイックなお二人らしいエピソードだと感じました。またお二人それぞれがすばらしい人々との出会いを見逃さず、行動力を持ってきちんと自分に大切なターニングポイントにしてきたというバイタリティ溢れるお話を聞かせていただき、ますますお二人の魅力の虜になりました。

 

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「友達だからこそ、甘えたくないと思います」(ホンダ)

――まずは、お二人の出会いや一緒に活動されるようになったきっかけを教えていただけますか。

 

清水えり子(以下、清水):最初、私たちは大学は違ったんですが共通の友人が居て、顔を知っている程度で。初めてちゃんと会って話したのは多分、お互いの卒業制作展でした。卒業制作を見せ合って、すぐに仲良くなれたのかなと思います。当時、zaziはロゴやフライヤーなどもブランディングの部分が全然できていなかったので、お願いしたいなと思って。そうしたら「私でよかったら」って言ってくれて。そこで初めて関わりあうようになりました。

 

――そうだったんですか。てっきり学生時代から仲が良かったのかと思っていました。

 

ホンダチヒロ(以下、ホンダ):お互いいろんなことをやっているのは知っていたし、清水さんが作るものが好きだったこともあって、私もなにか力になりたいと思っていました。なのでどちらからともなく、自然にという感じだったのかな。

 

清水:初めてホンダさんと一緒にやったのは、2年前にzaziで作ったカレンダーですね。それ以来、ロゴやフライヤー、タグ、名刺など、zaziの紙ものは全部ホンダさんにお任せしています。他にやってくれる人がいないから…ということではなくて、感覚が一緒だから、za本みたいなことも一緒にやりたいと思えますし、とてもいい関係だと思います。友達同士だからとなあなあになってしまうのが嫌だけど、ホンダさんとはそれは絶対にないですね。

 

ホンダ:友達だからこそ、甘えたくないと思います。

 

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左:zazi ロゴ、右:zazi タグ

 

――お話を聞いていると、お二人の関係は「友達」というより「仲間」だと感じます。

 

清水:私、学生時代は友達があまり作れなかったんです。友達同士で馴れ合いになるのが嫌で、時間の許す限りずっと工房にこもって制作していました。でも、こうして制作を続けていると、同じように続けている人とつながることがあるんだなと卒業してから感じます。

 

ホンダ:仲間ですね。相棒という感じ(笑)清水さんのように、もともと直接の友達ではなかったとしても、お互いが活動しているからこそ一緒になった人たちとのつながりはなにか共通のものを感じるので、大事にしていきたいと思います。

 

――そういった方々と一緒に制作するのは、いわゆる「仕事」とはやり方が違いますよね。

 

ホンダ:そうですね。私にとって清水さんと作るものなどは、会話の延長上のようなものなんです。だからとても楽しい。

 

清水:私の場合、基本的にいつも一人で仕事しているので、ちょこちょこ人に会わないと感覚が狂ってしまう気がします。そんな時、ホンダさんが声をかけて外に連れ出してくれるので、とてもありがたいと思っています。ホンダさん、本当にフットワーク軽いんですよ。行く場所もなんとなく決めているんじゃなくて、今度一緒にZINE作るからこの展示に行こうとか、刺激になりそうなものを的確に選んでくれるんです。

 

ホンダ:世の中には素敵なものが本当にたくさんあふれているのに、自由に動ける時間は限られている。どうやったらたくさんのものと出会えるかを考えるので、自然にフットワークも超絶軽くなります。先日はどうしても見たい展示が群馬でやっていて、朝5時起きで見に行って、帰ってきて仕事をしたなんてこともありました(笑)

 

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za本 zine:二人のドローイングをプリントした紙を購入者が選び、箱に収めて販売。

眺めるだけでなく便箋や包み紙としてなど、自由な使い方ができるzine。

 

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za本 福袋:「見える!クリエイターズ福袋」@ROCKETにて販売。

 

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2013年に清水さんとホンダさんが初めて一緒に制作したzaziのカレンダー。

清水さんが紙に刺し子とドローイングを施し、

レイアウトとタイポグラフィをホンダさんが担当。

photo:Kazumi Okubo