gorgejukemura
icon 2015.10.9

熟村丈二インタビュー――ゴルジュークの始祖にしてCRZKNYの師匠、音楽と美女といま最も熱い場所・中国地方を語る

「これを読んでいる全国のXVIDEOSファンのみんなに伝えたい」

――私は2014年のゴルジェ・コンピ『僉 -the bootists-』に収録されたCRZKNYさんとの「SAMAIMALA DANCE」で、先生にぶっ飛ばされたクチです。『THE BEST HITS OF GEORGE JUKEMURA』も、ちりちりっとしたノイズ、鋭い金属的な高音、重量級のタムの低音、猛獣の咆哮のようなサンプルなど、レイヤーと空間の使い方が好きです。なにより一撃に込める圧が凄いです。どんな機材で、どうやって作っているのかより具体的に知りたいです。

 

:最近はDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のシンガーソングライターってソフトで、鼻歌を譜面にしてくれる機能を使ってほとんどの部分を制作しているよ。風邪を引いたり、奇声を上げすぎて咽から血が出ている時なんかは代わりに東芝のサンプラー(注:ビデオデッキのことと思われる)を何台か使って作曲している。ちりちりっとしたノイズ部分はもしかするとこのサンプラーの性かもしれないね。何しろ昔散々裏ビデオをダビングしていたからね。どちらの制作スタイルの場合も最終的にHi-Fiのマスターテープに落として、信頼できる海外のエンジニアに裏ビデオのテープと一緒に送りつけるんだ。もちろんアポ無しでね。

 

熟村丈二+CRZKNY「SAMAIMALA DANCE」

 

――『THE BEST HITS OF GEORGE JUKEMURA』はゴルジュークにとどまらず、インダストリアル、ハードミニマル、ダブステップ、エレクトロニカファンの耳にも届く懐の深い作品だと思っています。しかしながら先生は1977年にはすでにゴルジュークを作り始めていたわけですから、ある意味上述したすべてのジャンルの祖とも言えるのではないでしょうか?

 

:すべての祖だなんておこがましい…と言ったら謙遜になってしまうかもしれないね。確かに君の言う通り、今列挙したジャンルは少なからず私の生み出したゴルジュークになんらかの影響は受けているだろうね。

 

――さすが先生…『THE BEST HITS OF GEORGE JUKEMURA』のリリース元である京都のAXさん主宰のレーベル・Terminal Explosionについて、いち作り手として、いちリスナーとして、どのように見ていますか?

 

:AX氏(注:熟村氏はアックスではなくエーエックスと発音)には直接会ったことはないんだが、AX氏と会ったことのあるCRZ君に聞いてみたところ「身体が細い」らしいよ。私から言えるのは「もっと炭水化物を増やして適度な脂肪をつけることが望ましい」ということかな。レーベルについては私のアルバムをCDでリリースした、ということが全てを物語っているよ。このレーベルは本物さ。

 

――そして実に2年8ヶ月ぶりの新作『DUMB』がリリースされましたね。全32曲入りですが、1曲目をのぞいてワンショット=ゴルジューク作成キットになっています。これは後世にゴルジュークを作り続けてほしいという意図からでしょうか?また、未来のゴルジュークがどうなってほしいと思いますか?

 

:ザッツライト。その通りだよ。ゴルジュークはこんな魅力に満ちあふれているのに、今のところ片手で収まる程度しかトラックメイカーがいないのが現状だ。私も2019年には確実に死ぬことが決まっているからね。これを読んでいる全国のXVIDEOSファンのみんなに伝えたい。

 

XVIDEOSを観ながらディスプレイの前で何かを始めようと思ってるお前

お前等が思ってるそれのさらに何倍も

俺は独学でセクシーの哲学を努力を支払って作り上げた

そしてまだ進化する

言いたいことはただ一つ 止まるな やるしかねぇんだ

 

熟村丈二 『DUMB』

 

――ところで先生は普段「喫茶サントワマミー」の店主をやられていますが、どういった店内BGMをかけているのですか?

 

:最近はもっぱら安室奈美恵「太陽のSEASON」とThe Beatles「Let It Be」だね。この前、死ぬまでは『桜金造の怪談 実録!死ぬほど怖い話』をサウンドシステムで鳴らしていたんだけれどね。

 

――先生のなかの「そのとき歴史が動いた」な三作品を知りたいです。

 

:山口和彦『ビッグマグナム黒岩先生』(1985)、Irakere『Irakere』(1978)、あだち哲『さくらの唄』(1990)かな。比較的最近の作品になってしまったが、もちろんこれは私の生み出した作品を除けば、という前提だね。

 

――そもそもどうやって音楽をディグっているんでしょうか?実店舗とネットの割合、それぞれおすすめのショップもありましたら。

 

:予め断っておくと音楽をディグする暇は正直ないんだ。音楽を聴くときはもっぱら女性達との逢瀬の際に使用するホテルの有線、もしくはデートの時に愛人が立ち寄るCDショップぐらいになるだろうね。

 

――(笑)いま有線やCDの話も出ましたが、LPから始まってカセット、CD、MD、MP3、Bandcamp、SoundCloud、iTunesなどなど、ここ半世紀のハードの変遷も体感してきたことと思います。どういう聴き方が一番フィットしますか?また、思い入れのあるフォーマットがあれば教えてください。

 

:思い入れのあるフォーマットはやはりVHSだろうね。裏モノの洋ピンなどを観ているときは音楽の秀逸さに思わず舌を巻いてしまうよ。とはいうものの、お好みの音楽が流れない時などは困るよね。そんなときは先程話したサンプラーを2台、そしてミキサーを用意する。1台は洋ピンを再生し、もう1台はダビング用にする。そしてダビング用のサンプラーの裏の配線を洋ピン映像だけ入力し、音声入力にはミキサーの出力を繋げる。ミキサーにはお好みの音楽を入力してやるんだ。そしてRECボタンを押す。これでお気に入りの一本の完成、というわけさ。

 

――凄い執念ですね!先生のいままでの作品はCDとネット配信のみですが、LPやカセットでのリリースもしてみたいとお考えでしょうか?

 

:ビデオテープでのリリースはいつも考えているよ。LDも捨てがたい。何しろジャケットが大きいからね。観ているだけで気分が高揚して思わず奇声を発してしまうほどだ。

 

――音楽以外に興味があるカルチャーは?(「女性」抜きで!)

 

最近は弟子のCRZ君に教えてもらった『名探偵コナン』の影響でスケートボードのカルチャーに興味があるよ。彼…江戸川コナンの大技はいつ観てもほれぼれするよ。劇場版に至っては車道の逆走や特殊ベルトの反動を使ってのトリックまでするんだから観ているこっちはヒヤヒヤしてしまうよ。だけれどもいつだって彼はクールにキメてくれる。

 

――ところで先生のアーティスト写真は身の毛もよだつ猟奇的連続殺人犯、Jeffrey Dahmerですよね。先生も前科9犯とのこと、やはり男はワルでなきゃという美学をお持ちなんでしょうか?

 

:意識して前科を重ねてきたわけではないけれど、振り返って考えてみると、男はワルでなくては、なんて意識している時点でそのワルさはフェイクなんだよ。私も、そして他の大勢の犯罪者も、犯罪している、という自覚がないままに行動していると思う。振り返れば死屍累々の世界。だが、私たちのような生まれた時から善悪の彼岸に立っている人間にとっては、犯罪か犯罪でないかは法律上の問題でしかないんだよ…