「うちらは別のフェーズで生きてるな…」(Kohhei)
――ざっくりとした聞き方になりますが、2015年のイギリスの音楽事情はどんな感じなんでしょう?
Koichi:イギリスの音楽事情か…
Kohhei:僕は陸の孤島やもん。
Koichi:いや、僕も空の孤島。
Koichi:そうそう、空の孤島だよね、ラピュタ(笑)
Koichi:うーん。やっぱりシーンができてしまうとおもしろくなくなるというか、あまのじゃくなだけかもしれないけど。
Kohhei:でもさ、基本いまのイースト・ロンドンのシーンと、例えばカムデンあたりでやってる人たちは全然違うよね。
Koichi:違う。
Kohhei:まあどっちも別に好きじゃないんだけど(笑)
――具体的には?サウス・ロンドンもグライム/キゾンバ/レゲトンを独自の解釈で表現する人たちが活発な印象を受けますが。
Koichi:正直あまり巷でなにが起きているか定かじゃないけど、例えばライブをしていると場所によって流行っているものやシーンを感じることはあるよね。電子音楽だったり、ガレージだったり。でもやっぱり、凄い勢いで変わっていくから。そういう中でグライムの人たちはなんとなくいいなと思ったり。もちろんミュージシャンによっても違うけど、たぶん地域から出てきている彼らのリアルな地元感もあるんだと思うし。数年前に、友人のMica Leviはグライムのミュージシャンとコラボレーションしていて、危なくも普遍的なエネルギーが出ていてとても魅かれた部分があって。実は今回のアルバムに入っている曲も今年の春くらいに彼女にリミックスしてもらう予定があったんだけど、忙しくなってしまって結局間に合わなかったんだ。
Kohhei:イースト・ロンドン、カムデン、と覚えてないから具体的には名前を挙げられないんだけど、言葉では説明しづらい傾向があると思う。でもどちらもスタイルの引用でしかないものが多いから、特に興味がわかないかなあ。ハンマー・ビートを叩けばクラウト・ロックっていうのは違うでしょ?ただ最近知り合ったTotal Refreshment Centre界隈の人たち(編注:Bo Ningenがここでスタジオを借りている)、例えばThe Comet Is Comingなんかは大仰なシンセと持続的なリズムとフリーのサックスが絡んで興味深いよ。電子音楽、というかクラブ・ミュージックは積極的に新しいものを聴いたりはしないのであまり語ることはないけど、Bo NingenのTaigenくん経由でいろいろ聴くと、かっこいいなと思う。
The Comet Is Coming「Neon Baby」のMV
Koichi:さっきちょうどBo NingenのYukiくんと話してたのは、This Heat、あれがイギリスの音楽っていうのが嬉しいねって。
Kohhei:This Heatはもう別格でしょ、彼らはサウス・ロンドンだよね。
Koichi:イギリスに長く住んでこんなこと言うのもなんだけど、そこまでグァーッと感電する感じのものがないというか…
Kohhei:現在はでしょ?This Heatだったり、例えばThe Beatlesもだし…昔のでいったらたくさんあるじゃん。いま売れてるような人たちや周りで起こってるようなのだとなにが…
Koichi:NEWは?
Kohhei:NEWは凄い!ここ5年くらいで観たベストライブバンド!
Koichi:CDで聴いてもそんなでもないけど、ライブで観ると天国っていう。サイケデリックとかよくわからないけど、あれを観ている時は繋がっているなって(笑)
Kohhei:ちゃんと音楽として言葉を超えられてる感じがあるよね。
Koichi:本当それ。あれ観ると座って観ても立ち上がっちゃうもん。かっこいいよね。
Koichi:ということで…コンクルージョン?
Kohhei:え?なんの話やったっけ?(笑)
Koichi:イギリスの音楽事情。
Kohhei:イギリスの音楽事情はもうどうでもいいよ。
Koichi:そうなんだよね。
Kohhei:ローカルでたいしていいバンドはいないし。
Koichi:知ってる限りではいない。
Kohhei:最近観たのだとなんかいいのあったかな…Café Otoはちょっと別じゃん?あれはバンドっていうかプレーヤー単位というか。
Koichi:見せ方も独特だし、あそこはやっぱりちょっと偏ってるし(笑)
Kohhei:イギリスの音楽事情でいうと、なんかある?プレイヤー単位でおもしろい人はめっちゃいるけど、バンドでこれはっていうのは…
Koichi:あ、個人的に去年観たロス・クリプス!あれよかった。
Kohhei:あ、あれ観たかった。アルゼンチンの。
Koichi:そうそう、アルゼンチン…
Kohhei:アルゼンチンじゃん(笑)
Koichi:あれ?アルゼンチンだっけ?
Kohhei:うん、アルゼンチン。イギリスじゃない。
Koichi:やばい、基本が…イギリスでやっただけか…
Kohhei:うちらは別のフェーズで生きてるな…