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icon 2014.4.3

Young Fathersインタビュー「ヒップホップよ、その勢いを止めるな」◆エジンバラ発ヒップホップトリオの新作『DEAD』に寄せて

リベリアで生まれたAlloysious、ナイジェリア移民の子孫Kayus、スコットランド出身のGrahamによる、スコットランドはエジンバラ発のヒップホップトリオ、Young Fathers。2008年の結成以来、フリー音源で注目を集め、SXSW2013のライブパフォーマンスでも話題をさらった彼らが、『Tape One』『Tape Two』に続くアルバム『DEAD』をリリースした。

 

USではLAのレーベルAnticonが、UKではロンドンのレーベルNinja Tune 傘下のBig DadaがYoung Fathersを送り出す。インディペンデント/アンダーグラウンド/ヒップホップ/エレクトロニカのタームで共鳴するような両者からのリリースというのも興味深い。

 

アフリカの伝統音楽やスコットランドのバグパイプ行進曲を彷彿とさせつつ、ラフでへヴィーなビートと不穏なメロディーに、三者三様のラップ/コーラスがからまる。一聴するときらびやかな曲もあるが、それでもどこかどんよりとした暗さが漂っている……。アルバムタイトルの『DEAD』からも、生と死のコントラストを感じてしまう。

 

今回、4月から5月にかけて行われるUSツアー直前に、彼らにメールインタビューを行った。「音楽を始めるきっかけになったアーティストを教えてください」の質問以外はすべて匿名(Anonymity)で返信、ジャンルやアーティストに対してもどこまでが本心なのかわからない答えをくれた。一筋縄ではいかない彼らの音楽から、ヒップホップのいまを感じてほしい。(質問文/川井田好應、斎井直史、前文/福アニー)

 

 

「ヴィジョンなんかじゃない。現実だ」

――メンバーとの出会いについてお聞かせください。

 

Anonymity:汚いクラブで重いベースラインで踊っている時に会った。まだその頃は若かったよ。

 

――音楽を始めるきっかけになったアーティストがいたら教えてください。

 

Alloysious:母のミュージックプレーヤーで色んな音楽を聴いてる。

 

Kayus:たくさん音楽を聴くけど、特にインスパイアはされていないな。AlloysiousとG(Graham)に会った事によってインスパイアされてる。

 

G:2PacのGreatest Hitsが無ければ音楽なんて作ってないよ!

 

――隣島であるイギリスはYoung Fathersにとってどんな国ですか?

 

Anonymity:ブラウンシュガーを貸してくれるけど、貸している途中で散らかすんだ。

 

――おそらくグライムがジャンルとして確立する様子をリアルタイムで聴いていた世代かと思います。ご自身にとってグライムとはどんな存在ですか?

 

Anonymity:他のジャンルと同じぐらい。一瞬面白かったけど、そこまではならなかった。ヒットになったレコードが非公開になった事を覚えてるよ。でもすごく昔の話に感じる。

 

――アメリカの音楽の影響も感じます。USヒップホップは聴くのでしょうか。

 

Anonymity:今アメリカに居て、車から、布団屋さんからヒップホップが流れているよ。ヒップホップよ、その勢いを止めるな。

 

――最近だとKanye Westの『Yeezus』がポストヒップホップらしく音数が少なく、それでいて衝動的でした。個人的には共通していると感じていますが、聴きましたか?

 

Anonymity:聴いてない。でも彼は僕らの音楽を聴いたよ。

 

――Death Gripsと比べられることも多いと思いますが、彼らと交流は?

 

Anonymity:彼は僕の妹の従兄弟の友達の姪っ子の犬のベビーシッターだ。嘘だよ、僕らはDeath Gripsを知らないし、関係ない。

 

――『Tape One』『Tape Two』と続いて今作『DEAD』は、今までのアルバムとの関連性はありますでしょうか。また、アルバムに込められたメッセージとは、どのようなものでしょうか。

 

Anonymity:最後からリバースで聴いたらリベリアからメールが届くさ。普通に聞いたら歌詞の似たところを探す事は出来るけど、それ以外はリンクがない。

 

――どんな時に曲をつくるモチベーションが湧いてくるのでしょうか。

 

Anonymity:「あ、待って、今モチベーションが来た!」とか言って、いつもモチベーションが必要な時にはあるよ。もしモチベーションが無かったら、無理矢理にでも自分を前に押すんだ。あまり良くないけど結果には繋がるからね。

 

――地元のエジンバラでオススメのアーティストを紹介してほしいです。

 

Anonymity :LAWっていうアーティストと、元々Fridgemasterとして知られていたアーティストが良いよ。

 

――もし日本人でお気に入りのアーティストがいましたら教えてください。

 

Anonymity :Nokko。Perfume。

 

――最後に、目指しているヴィジョンを教えてください。

 

Anonymity:ビジョンなんかじゃない。現実だ。

 

 

 

Young Fathers動画集

 

 

 

 

 

 

●Disc Information

youngfathers_jacketYoung Fathers『DEAD』

 

1. No Way

2. Low

3. Just Another Bullet

4. War

5. Get Up

6. Dip

7. Paying

8. Mmmh Mmmh

9. Hangman

10.Am I Not Your Boy

11.I’ve Arrived

 

2300円(税込)

レーベル:Tugboat Records

解説:長谷川町蔵

作品詳細:http://www.tugboatrecords.jp/4570

公式HP:http://www.young-fathers.com/