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rokapenisインタビュー「自分のやりたい事で無理矢理でも生きていく」◆オウガとメルツバウ出演の「V.I.I.M × WWW vol.003」主催VJに迫る

「濾過光(ろかびかり)だなあ」。2013年4月10日、筆者の企画「HERE AND THERE vol.1」でKILLER-BONGのVJをしていたrokapenisが発する光を見て――rokapenisのrokaが「濾過」をあらわしているかはわからないが――改めてそう感じた。

 

BABY-Q、BLACK SMOKER、あふりらんぽ、あらかじめ決められた恋人たちへ、WRENCH、石橋英子、INNER SCIENCE、385、skillkills、BiS階段――。彼が手がけたVJやMV、映像をざっと見るだけでも、エグい固有名が並ぶ。ジャンルにとらわれることなく音楽とダンスのはざまを映像で行き来しながら、八面六臂に活躍するVJ/映像作家・斉藤洋平=rokapenis。

 

2010年からは自身が主催する、映像と音楽プラスαを追求する新感覚ヴィジュアルショックショーケース「V.I.I.Mproject」を開始。気鋭のライブハウス・渋谷WWWと組んだ「V.I.I.M×WWW」3回目の今回は、SOUNDにOGRE YOU ASSHOLEとMERZBOW、VISUALに浮舌大輔(20TN!)を迎え撃つ。まさに異形の、異形による、異形のための実験場だ。

 

ごちゃまぜと越境に心ひかれ、魑魅魍魎としたカオスはひるがえって整然なるコスモスだ(宇川直宏風)と信じてやまないHEATHAZE。まことに勝手ながら、rokapenisに通じるにおいを感じ、メールインタビューを試みた!(取材・文/福アニー)

 

 

「段々少なくなってくるんですよ、サヴァイバーが」

――「rokapenisって何者だ!?」という方々に向けて、映像を始めたきっかけやこれまでのことなど、まずは自己紹介していただけますか。

 

rokapenis(以下、rkp):もともと大阪芸術大学ってとこの映像学科にいて(95年頃)、ボアダムズや当時大阪のベアーズで盛り上がっていたスカムカルチャーやノイズの話で友達になった映画監督の柴田剛と、後にBATALANDを始めるHIRALIONとVJを始めたのが始まり。その後シロー・ザ・グッドマンのパーティー「DOOR」のVJをしないかって声かけてもらって、rokapenisとしてVJを始めたのが2000年くらい。当時、仕事もCMの編集をしてて、ダンスカンパニーBABY-Qでも映像やってたし、VJはなるべく投げやりな感じがカッコいいと思ってて相方の森田くんとひたすら面白い裏ビデオを紹介していくってスタイルだった(笑)シロー君が東京に行ってROMZを立ち上げて東京のUNITでパーティーをやったときに一緒にやった「DaDakingZ」や「TGBdesign」のVJに衝撃を受けて、自分達ももっと音楽に合わせたりとかやんなきゃな!と思って、もう少し真面目にやるようになっていった。

 

――それから?

 

rkp:で、BABY-Qの海外公演とかVJとかが増えてきて仕事も休むことが多くなってきたんで、仕事辞めて上京してシロー君の紹介でBLACK SMOKERの人達と事務所をシェアして、そのパーティーのVJを始めて。昔から友達だった「world’ s end girlfriend」や同級生だった「あらかじめ決められた恋人たちへ」のVJをやり始めてバンドと一緒にやることも増えて、それのMVとかも作り始めたら色んなバンドからMV作ってってなってきて。なんとなく舞台でやってたこととバンドのVJとかで表現することが一緒の考えで出来るようになってきて、それが一晩のVJにも影響が出てきて、別々だと思ってやってた映像表現が自分の中で一個になってきたんで、自分主催の何かを始めてみようと思ってV.I.I.Mprojectを始めたりして、今という感じです。偶然周りに面白い刺激的な同世代の人がたくさん居て、その人たちに影響を受けてその人たちの喜ぶ事やろうって感じで流れに身を任せてたら今にいたったって感じです。

 

恵比寿映像祭06

 

――パフォーマンス・ショーケース「V.I.I.M × WWW」を主催することになった経緯を教えてください。

 

rkp:1回目の「V.I.I.M × WWW」をやる前に恵比寿の写真美術館で自分の映像とパフォーマンス作品「不連続殺人事件」をやる機会があって、その時は自分の映像とダンサーと録音した音楽で作ったんですが、本当は生の演奏とやりたいなあと思っていて。やった後思ったのが、自分がやって一番意味あることは作品を残すというのも勿論大切なことだけど、ダンスなんかの舞台のカルチャーとライヴハウスに来る人達のカルチャーを混ぜ合わせる橋渡し的なことなんだろうなって事で。渋谷にWWWって箱が映画館のシネマライズの場所に出来たってのは聞いていたんで、そういう特殊な場所でなら自分が思っているような、境界をまたいだりクロスさせたりってことが出来るのかなと思ってWWWの名取さんとサトミチくんに相談に行ったのが始まりですね。

 

――同じVJとして、1回目は柴田剛さん、2回目はmitchelさんときて、今回浮舌大輔さんを誘われたのは?

 

rkp:浮舌くん(20TN!)は、前にUNITで永田一直さんのイベントでVJを見たときから気になっていて、センスも良かったし出所が自分と近い気がしてて。今回もう1組VJを誘おうって思って会ったんですが、自分と同じようなVJなんかをメインにサヴァイヴしながら生きてる感じが凄く共感できて、凄く楽しみです。段々少なくなってくるんですよ、サヴァイバーが。

 

恵比寿映像祭04

 

――音楽の出演陣も、1回目は渋さ知らズオーケストラ 、大谷能生、THE LEFTY (KILLER BONG × JUBE)、東野祥子。2回目はDEERHOOF 、The Floating Guitar Borchestra Of Boredoms。そして今回はオウガにメルツバウと、みなサヴァイバー感凄いですね。

 

rkp:2組通して見ることによって、どちらか一方では判らなかった化学変化や統一感がでるように物凄く意図的に考えています。空間を含め始まってから終わりまでで一つの体験になるように。「異形の祝祭」ってコンセプトがずっとあって、ひとつのお祭りというか祭祀を体験する気持ちになって貰えたら嬉しい。だから開演時間から見て欲しいってのがあります。

 

――WWWでは3回目になるわけですが、その前にスーデラでNibrollの映像担当の高橋啓祐さんを招いて、ダンス主体でおやりになったこともありましたね。WWWで音楽主体にしたのは?

 

rkp:ダンス主体のこともそろそろやりたくなってます。自分の立ち位置は音楽でもダンスでも行ったり来たりすることだと思っていて、WWWで音楽主体のを2回やって、その前にダンス主体のを何回かやって、その後BLACK SMOKERとやったブラックオペラで、一番やりたかった舞台でもライヴでもない自分達の表現の一歩は踏み出せたかなという手ごたえがあって。ブラックオペラもまたやろうと思っているんですが、WWWはライヴハウスなんで、音楽を主体としてそこにプラスアルファを持ち込むことも面白いことだなと思っています。