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icon 2013.5.14

komori(壊れかけのテープレコーダーズ)インタビュー◆5/24、25自主企画「Document & Monument」の前に

――壊れかけは、昔からかなりの本数のライヴをやられていますよね。

 

komori:いや、最近は減ってきましたよ(笑)。2011年と2012年は80~90本くらいなのかな。ありがたいことにこれまでオファーがあり続けていたし、あまり金銭的なところは気にせずできる限りはやろうかと。ツアーが多くなってきたのでそれとの兼ね合いもありますけど、うまい具合にやりたいです。やっぱりバンドにとってライヴは特別だし、ライフ・ワークです。

 

――曲もライヴを意識したものが多いと感じます。

 

komori:でも、最近はそれだけじゃないのかなとも思っています。曲の作り方にしても、いつも出てるような30分間のライヴの枠組みにとらわれずに、30分で1曲の曲を作ってもいいのかなとか。もしくは、歌やオルガンがない曲があってもいいし、ライヴが前提じゃないあり方を模索するのも面白いと思いますね。いまは作った曲をライヴでやっていますけど、そのうちライヴでやらずにレコーディングだけする曲も出てくるんじゃないですかね。

 

――いまある楽曲のほとんどは、ライヴで披露してからレコーディングしていますよね。

 

komori:今後はその逆も出てくる可能性もありますね。みんなで「いっせいのせ」で録音するんじゃなくて、ドラムとベースだけを最初に考えて、そこから味付けをするようにレコーディングした曲を、あとからライヴで演奏したりとか。ゆらゆら帝国の後期にやってたような、CDとライヴが全然違ったりするような実験なんかも面白い気がしています。

 

――komoriさんは、ブログやTwitterなどでライヴへの思いを強く語っていますよね。先日の福岡のライヴ後のブログには、ライヴは「輝ける黄金の瞬間」だと書いていました。そんな瞬間を感じるのは、どんなときですか?

 

komori:1人だろうが100人だろうが、ライヴは人に観てもらうわけです。自分と他人の我がどこかで溶け合う、衝突する、接する瞬間ていうのがあると思うんですよ。真っ白になる瞬間、届いてる瞬間があるんです。それは静けさのなかに感じることもあるので、拍手の音の暖かさとかもすごく敏感に感じますね。もちろん自分たちの演奏に対して、今日の4人のライヴは間違いなかったっていうカタルシスを得ることもあります。そんなふうに包み込まれる瞬間があるんですよね。

 

――自分たちが最高だと思う瞬間と、お客さんの反応が最高な瞬間が重なるときもありますか?

 

komori:それもあります。それが一番いいですよね。そういうときは、自分が歌っているとか曲を作っているっていう感覚すらなくなってくる。音楽があってその下にみんながいるっていうか、音楽という一番でかい存在に従ってみんな自動的に動いている瞬間というか。神秘的な感じなんですよね。そういう瞬間てないですか?

 

――ライヴを観ているなかで、最高の瞬間は完全に音楽に身を任せているというか、音楽と同化しているような感覚になります。その感覚はライヴ特有のもので、一人で家で聴いていたら絶対に味わえないものですね。

 

komori:音楽と同化したいですね。でも、どこかで冷静さは保ってないといけないとも思います。何故かっていうと、ライヴは終わるから。絶頂に達して死ぬわけではなく、それを繰り返していくので。

 

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――ちなみに、いままでの自分たちのライヴで一番素晴らしいと思える瞬間があったのは、どのライヴですか?

 

komori:覚えてる範囲で思い入れがとくに強いのは、おとぎ話とZoobombsが出た去年の新宿LOFTのレコ発ですかね。大御所を呼んで先に演奏してもらったので、緊張が極限でした。

 

――はじまる前から、普段とは違うテンションだった。

 

komori:ピリピリしていました。でも、あの時の「天気の話」なんかは、そこにあった音楽と同化できたと思いましたね。そういう感触がありました。

 

――お客さんの反応も良かったですか?

 

komori:そうだと思います。でも、共有することを強制するつもりは全くないし、盛り上がることを無理強いするつもりはないです。楽しまない自由や観ない自由もあるし。でも、個々の境界線が避けるような爆発が欲しいなって思います。それは4人の演奏もそうだけど。

 

――気持ちを共有するというよりは、1人1人の爆発した感情が同じベクトルを向いている感じですかね。感情の種類は違っていても、その高鳴りの強さが同じくらい強いというか。

 

komori:そうですね。僕はいつもそういうことを考えています。

 

――小森さんはライヴ中に言葉で煽ることは少ないですよね。

 

komori:根が消極的なタイプだと思うので、「イエーイ」とかいえないですから(笑)。

 

――でも、演奏やパフォーマンスは言葉で煽る以上に激しいですよね(笑)。

 

komori:そうかもしれない(笑)。ギターを振りかざすのは好きですね。トリプルファイヤーやEmily Likes Tennis、大森さんとかによく物真似されます(笑)。