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icon 2013.10.10

世界最遅レポート!!「ニコニコ超会議2」に行ってみた!!

漢字一文字の威力について考えることがある。たとえば「神」「激」「爆」「漢」。「神降臨」「激辛」「爆裂」「漢(おとこ)泣き」などなど、他の文字につけるととたんになにか凄いものが降りてきそうだし、とんでもなく辛そうだし、なにかに向かってトバしてそうだし、ほとばしって泣いているんだろうなあという感覚が増す。「超」もそのひとつで、「ニコニコ会議」だと普通の会議っぽいが、「ニコニコ超会議」と言われると、なにかしらハイパーな会議なのかしらと想像がふくらむ。

 

もともとWindows Meを使い始めた十数年前から2ちゃんはROM専ではなかったし、ニコニコ動画でも「88888888」しているし、YouTubeもユーストもサーフィンしまくっている筆者。が、オタクやサブカルに見られたくなかったので(かようなウェブマガジンをやっている時点で全然説得力ないが)、おおっぴらには「ネット大好きなんですう」と言いたくなかった。ちなみにmixiよりもTwitterよりもFacebookよりもそれらのほうが落ち着くし、LINEに至ってはかたくなにガラケー派なので触れたこともないが、やった日には窒息するだろう…

 

そんななか、ニコニコ動画の世界を完全再現する「ニコニコ超会議」が、今年も開催されると知った。昨年は先述した気持ちもあって足踏みしていたが、取材にかこつけて去る4月28日(日)、勇気を振り絞ってこの巨大な「オフ会」に行ってみた。

 

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たった2時間ほどの潜入であったが、壮大なるギャグ合戦というか、さすが八百万の神々の国というか、欽ちゃんの仮装大賞のDNAって脈々と受け継がれているのねというか…めくるめく情報量にくらくらしつつときめきつつ圧倒されつつ、どっと疲れたのだった。と同時に、以前STUDIOVOICEの編集長と話したことを思い出していた。「いまは真ん中がごっそり抜けている」。

 

なるほど「つくるのは、あなたです」のキャッチコピーどおり、来場者参加型の企画が多く、コスプレイヤーや同人といった個人と、政党や大企業(なにせ後援は総務省と経済産業省、特別協賛は任天堂である)がなりふり構わず入り乱れる空間。対極にあるもの同士が共闘を叫ぶでもなく反旗をひるがえすでもなく、ただそこにぶち込まれている。会場内で自衛隊の戦車や自民党の街宣車に嫌悪した人もいれば、高揚した人もいただろう。単純に出会いを求めて来た人もいただろう。「情報」とは大なり小なり意図的に操作され、取捨選択されるからこそ「情報」だと思うが、主催のドワンゴは己の色を限りなくなくすことで、原色のカオスを無色のサラダボウルにすることで、「情報」というよりはヒエラルキーのない「陳列」の世界をかたちづくっていたように思う。

 

帰り際、プレスに配られた湯飲みにハッとした。そこには各企画のアイコンがびっしり。そういえばDOMMUNEも各種SNSも、まずアイコンが目に飛び込んでくる。「時代のアイコンは誰か?」ではなく、「ひとりいちアイコンの時代」に、果たして同時多発的に現出してタコツボ化するものでもなく、大勢が熱狂しておかしな方向にいくものでもない「真ん中」を生み出すことは可能なのか。宗教からもファシズムからも遠く離れた「真ん中」はどこにあるのか。

 

そんなことに思いを巡らしてみもしたが、なんだかんだ未知の世界が広がりすぎていて楽しかった。ページを進めるごとにカオス感が増していくつくりにしたので、追体験してもらえれば幸いだ。世界最遅レポートとインターネットの特性を完全無視したものになってしまったが、「最速ばかりがすべてじゃない」を胸に、半年前の幕張メッセへ行ってみてほしい。(取材・文・撮影/福アニー)