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永原真夏&工藤歩里インタビュー「ヒーローじゃなくてスターでありたい」◆SEBASTIAN X『POWER OF NOISE』発売記念企画(後編)

「ずっとパワフルって言われるのが嫌だった」(真夏)

――さっきから「パワフル」って言葉がよく出てくるけど、初期はアッパーで押せ押せだったのが、最近はしなやかで染み入る感じで。同じパワフルでも微妙に違ってきたのかなあと。どうですか?

 

真夏:ずっとパワフルって言われるのが嫌だったんですよ。でもアルバムを作る時に、歩里やまわりのスタッフに「日本で一番パワフルなボーカルになればいいんじゃん!」って言われて、ようやく自分のパワーを受け入れられるようになって…

 

――まなっちゃんはそう話してますが。

 

歩里:「DNA」を「TOKYO春告ジャンボリー」(SEBASTIAN X主催の野外イベント)ではじめて披露したときのことなんですけど…真夏が集中してパワーを爆発させてて、後ろのバンドがちゃんと土台を支えてるっていう光景を観たとき、これからはこういうバランスでバンド自体も成長していきたいって思ったんですよね。なので「DNA」の歌録りをするときに、「真夏は閉じてる蓋を開いて、いいとこも悪いとこも全部出して。その代わり楽器陣はちゃんとまとめるように土台をしっかり固めるから、真夏は好きなようにやってくれ」って話をしたんです。

 

真夏:私はそれまで自分を上手に商品化しなきゃいけないのかなと思ってたんです。そういうの苦手なのに。でもそうじゃなくて、「はみ出てるならはみ出てるで、悪いところがあるなら悪いところがあるで、それも上手に聴かせるよ」って歩里に言われたときに、すごく救われた。

 

――気づきだね。

 

真夏:そう。それがすごく作品に影響してます。

 

――続いて3曲目「ヒバリオペラ(ALBUM ver.)」。「女は歌うひばり」「男は寂しいうさぎ」ってあるけど、自分自身を人間界以外のものにたとえるとしたら?

 

真夏:人間界以外!?なんだろ…

 

歩里:おおおお、むずっ。

 

真夏:歩里は…きつね(笑)

 

歩里:なんでだよ(笑)

 

真夏:神の使いだしいいじゃん。顔も似てるし。あと綺麗だから!馬もすごい近いと思います。

 

歩里:真夏は形がないもの、目に見えないけどそこにあるもののほうがしっくりくる感じがするな。

 

――なんだろ、暗黒物質?

 

歩里:はははは。すごいくさいこと言うようだけど、光とか。

 

真夏:歩里は雲かな~。

 

――光と雲…ふたりともマイペースな性格なのかな?神経質ではない?

 

真夏:神経質なわりにマイペース(笑)

 

歩里:個人思想が強いです。

 

――SEBASTIAN Xをやってるときと、女子メンバーふたりでやってる音沙汰のときって、音楽の作り方とか…

 

真夏:ぜんっぜん違います!!

 

歩里:セバスチャンのときは、ちゃんと話し合って、バランスを取りながらひとつの曲を作っていこうって感じですね。細かいやり取りが多い。

 

――理論派、感覚派でいうと?

 

真夏:やっぱり男性は理論派ですね。女性はばりばり感覚派(笑)

 

歩里:男性陣は具体的に示すんですけど、こっちは雰囲気で伝えるので、うまく噛み合わなかったり。音沙汰の場合はそれこそ感覚と感覚なんで、割とふわっと。

 

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――4曲目は「三日月ピクニック」ですね。「信号機は寝ないの?/少し湿ったアスファルト」って歌詞なんだけど、どんなにファンタジックなことや古代のことを歌っていても、SEBASTIAN Xって「アスファルトジャングル(都会)ミュージック」だと個人的には思っていて。東京生まれ・東京育ちのふたりが「内側 から見た東京」ってどんな感じ?

 

真夏:家から原宿が近いんですけど、原宿は未だに東京って感じがして、東京の縮図だと思ってる。どんな人種でも受け入れてくれる場所。

 

歩里:原宿はずーっと変わらない。

 

真夏:ファッションって人を見るわかりやすいポイントじゃないですか。原宿っていろんな人種がいすぎて、逆に誰も浮かないっていう超魔法があるんですよね。たとえばうちのベースは髪がピンクなんですけど、それで吉祥寺を歩くと目立つねって言われるんです。でも原宿だと全く目立たない。その感じも東京っぽいなって。

 

歩里:うん、東京っぽい。

 

――地方の人たちが東京でライブすると、バンド名のお尻に「(大阪)」「(札幌)」ってつくことがあるじゃない。東京生まれ・東京育ちがやる音楽として、思うところはある?

 

真夏: さっきの話とも通じるんですけど、東京は生活していて、まわりから入ってくる目が少ないんですよね。ご近所同士で筒抜けじゃないし。いろんなところから人が来て、いろんな人種がいるから。なんで、好きなようにできる街だと思います。そういうメッセージを出せるのは東京生まれ・東京育ちだからこそかもしれないです。「好きにするべきだ」じゃなくて、「好きにすりゃいいじゃん、実際好きにできるんだから」っていうリアリティはあると思います。

 

――SEBASTIAN Xの「肯定感」ってそういうところから来ているのかもしれないね。じゃあ5曲目「サマー・ハネムーン・ビート」。これはまたLOVEな感じで。

 

歩里:この曲は最初に私がトラックを作って、真夏に投げて、メロディーと歌詞をつけてもらったんです。

 

――そうなんだ。ふたりとも恋多き乙女なのかな?

 

真夏:いや~私はめっちゃ恋多いっすよ~(笑)

 

歩里:はははは。

 

――それが重苦しいとは思われないタイプだ。

 

真夏:ラフはラフ。最小単位が自分だとしたら、次の最小単位は男女だと思うので、恋愛は人生のテーマです。