Dirty Dirt
――まずは簡単な自己紹介をお願いします。
Dirty Dirt:カセットテープのこと中心なDirty Dirtというブログをかいたり、現行のカセットテープ関連の記事をかいたりしています。ふだんは古本屋の雇われ店長。
――ざっくりで構いませんので、小・中・高・大・社会人に至る音楽遍歴を教えてください。
Dirty Dirt:小学生のときはじめて買ったのが小室哲哉ソロ。中学あたりから渋谷系、フランスの音楽へ流れて、そこからインディなバンドのをたくさんきく時期もあったりしながら、FonalやDigitalisなどサイケ、ドローン、いまはカセットテープとテクノという流れで。
――2005年頃にフランスの音楽を見切っていろいろ聴き始めたと別インタビューで読みましたが、なにがあったのでしょうか?そしてK-POPから先鋭音楽までハマるきっかけはなんだったんでしょう?
Dirty Dirt:20代なときお金貯めてパリで2ヶ月、3ヶ月滞在というのを何度かで、映画『EDEN』の中盤からで描かれてたあちらでのハウスのシーンが終わってゆくのを目の当たりにしたり。あとレコード屋さんが少なかったりとで、いってみると音楽はつまんなかったっていう。映画や街並は好きですが。K-POPはGrouperの松本公演を催されたP-Heavyをやられてた千史さんの影響で。いまきいてるおかしい音楽はすべてDigitalis主宰だったBrad Roseの影響です。
Grouper「When We Fall」
――そのなかで絶対に揺るがない普遍的な一曲は?
Dirty Dirt:それが、本気でかわっていってしまいます。ほんとそのときどきな。ミーハーで、冷たいです。
――古川さんにFalus#3出演のお誘いを受けて、どう感じましたか?
Dirty Dirt:Powellのときにお会いして、1回目、2回目とものすごくいきたかったイベントに声かけていただいて、すごくうれしかったです。
Powell ‘Melon Magic’ on NTS [18112015]
――「トークショー」のよさはなんだと思いますか?
Dirty Dirt:ブログなどインターネットでかいたら怒られるようなこともいえるだろうし、そこで音と説明なはなしと映像とでいっしょに知ったものは印象がかなり強く残るのかと。顔がみえるのはよいですね。女子がきてくれてればなはなしですけど。
――「女子と言えばDirty Dirtさん、Dirty Dirtさんと言えば女子」ということで、今回のトークテーマ「注目のアンダーグラウンド女子」にばっちりですよね。ぱっと思いついただけでもGrouper、Sapphire Slows、Group A、f(x)と幅広い印象です。グッとくる女子たちに通底するものはなんだと思いますか?
Dirty Dirt:顔面と暗さと戦う姿。
――Dirty Dirtさんにとって理想の「アンダーグラウンド女子」とは?
Dirty Dirt:女子でシンセで暗い音、っていうだけでたいがい理想です。かわいいのになんでそんなことを、というどうしようもないかんじ。
――普段、どうやって音楽をディグっていますか?いつもチェックしているお気に入りのレコードショップ、ネットショップ、レーベル、サイト、ブログ、雑誌などもあれば知りたいです。
Dirty Dirt:BIG LOVEさんとMeditationsさん、あとはTape Schoolさんを信頼していて、そこにはいっていて気になるものはまちがいないだろうとおもい買ってます。お店よりひとで買ってるかんじ。インターネットでそこまで幅広く追ってるかんじはないです。Bandcampもかなり点でつなげて追ってるかんじで。ブログですとJesse RuinsとCVNのサクマさんのTumblr、京都の元大陰唇さん、あとはNo USBさんが大好きでした。
――先の別インタビューには、Meditationsの舘脇さんにかなり影響を受けているとも書いてありました。具体的には?
Dirty Dirt:Meditationsさんが、舘脇さんがカセットテープをいまのようなかんじでいれてくれてなければ、こちらもここまで追えてないですし、カセットのはなしをしたら100パーセントで、あぁ、あれですね、と返ってくるっていう、ほんとうにすごいです。
――2015年、圧倒的再生回数を誇る一曲またはアルバムを教えてください。今年リリースのものでなくても構いません。
Dirty Dirt:LSTNGT『Moderate Nightmare 84-97』(Solitude Solutions)。
LSTNGT『Moderate Nightmare 84-97』収録「I’ll Catch U」
――2015年の音楽体験を漢字一文字で表すと?その理由は?
Dirty Dirt:「越」。2度引越しでたいへんでした。きょねんきいたカセットの数も越えましたし。
――2010年代を踏まえて、2016年の音楽はなにがクルと思いますか?地域、ジャンル、フォーマット、造語、リバイバル、なんでもOKです。
Dirty Dirt:Digitalisがきます。いや、希望です。1年休んで、来年いきなり復活な夢をみています。
――Dirty Dirtさんは神戸生まれの西宮育ち、その後宝塚へ引っ越して京都の大学へ進学と、ばりばりの関西人!東京に住み始めて、それぞれの土地に生きる人の音楽に対するパッションの濃度や、音楽的土壌の違いを感じることはありましたか?
Dirty Dirt:東京へきてもう17年になるので、あちらのことがもうわからないですけど、birdFriend周辺の大阪の盛り上がりに、Meditationsさんの京都にと、濃ゆくて嫉妬します。
――いまやカセットテープのハードコアコレクターとしてその名が知れ渡っているDirty Dirtさんですが、なぜカセットテープというフォーマットに一番魅かれるのでしょうか?
Dirty Dirt:カセットテープでリリースされる音楽あたりが完成しきってなくってちょうどおもしろくって。ただ、いまは盛り上がって、カセットでなくってもよいのでは、というなのもあったりで。ずっと続けていたレーベルがカセットをやめてしまったりというのもあるんで、いきなりカセットやめるとかいいだすやも。来年末には、フロッピーが、CD-Rが、とかいってるかもしれません、と元も子もないこたえですけど。
――2015年はMASSAGE、アイデア、Borderと雑誌への寄稿も活発でしたが、それもブロガーDirty Dirtとして続けてきたゆえだと思います。魅力的なブログを定期的に長く続けるコツを教えてください。
Dirty Dirt:こちらはほかの方がかかれないあたりばかりかいていて、ただ悪目立ちというか。音楽を広めたいという気持ちはあまりなくって、じぶんのためにかいてます。かいておかないと本気で忘れるものが。カセットを買ったり届いたりすることのたのしさ、あたらしい音楽を追ってるたのしさみたいなのが伝わってればうれしいです。
――もし恋人に「私と音楽、どっちが大事なの!?」と詰め寄られたらなんと答えますか。
Dirty Dirt:音楽と即答してなぐられたいです。
――だいぶM寄りで(笑)音楽以外で2015年にハマったことは?
Dirty Dirt:植物。カイガラムシとの闘い。
――他の3人について、一行のレコメンド文を書いてください。
Dirty Dirt:
●古川さん:正直、東京よりもいまは大阪のほうがいろいろと盛り上がってるとおもうんですが、その盛り上がりやらをしっかりと伝えてくれれてはる方だとおもいます。
●舘脇さん:こちらにとってアイドルであり先生であり、日本でいっとうすごいひとだとおもってます。
●らるぷりさん:お会いするのはFalusがはじめてで。Hi-Hi-Whoopeeではいっとう広い視野と冷静繊細な文が印象に残ってます。
――最後に、全国のみなさんに一言!
Dirty Dirt:いまの日本の流れだと、カセットテープはどうしてもなつかしいもののリヴァイヴァルのような盛り上がりですが、現行のものもたのしいので、ぜひ。
※ぷりぷり伊能プロジェクト 測量6回目 よしの(よしフェス、宮崎)はこちら。
●Event Information
海外最新地下音楽のトーク&視聴会
Falus 第3回 年末Special
「注目のアンダーグラウンド女子」
2015年12月26日(土)@本町HOPKEN
開場19:00/開演19:30
チャージ:1000円+1ドリンク
出演:
舘脇悠介
La_Reprise
V8(古川正路)
Dirty Dirt(ゲスト)
来場特典:特集解説冊子
●Blogs
V8(古川正路)「V型8気筒」:http://8vo8ov8.blogspot.jp/
舘脇悠介「大陰唇ブログ」:http://biwakotower.blogspot.jp/
La_Reprise「Vapor Drawings」:http://vapordrawings.tumblr.com/
Dirty Dirt「DIRTY DIRT」:http://dirtydirt2.blogspot.jp/