――そんなこんなで、今回のイベントおよびこのウェブマガジンで、ちょっとでも物事を変えたいと思っていて。
M:俺だって革命起こす気でやってるよ。東京来た理由それだもん、遊びに来たわけじゃねえんだ。敵作ったらほんとに味方できるから。その敵に対して同じこと思ってる奴が、ちゃんとついてくるから。血を流すってことだよ。
K:リスクだよ。なにかを変えるなら。
M:音楽をことばにするなんてそもそも間違ってるわけだから、その音楽家の何倍も血を流さなきゃダメなんだって。
K:ことばって痛烈だからさあ、2、3行で通じるんじゃないの?
M:この原稿の出だし決まったじゃん、「ほかの○○○○は全員死ね」。
――ええ!
M:とにかくやり続けるしかないっしょ。1回でなにかできると思うなよ。俺らだってアルバム出れば変わるんじゃないか、フジロック出れば変わるんじゃないかっていっぱい期待してきたけど、なんにもないもん。逆に言えば、1回で変わることは1回でなくなっちゃう。だから乱発しなよ。ことばと、イベントと、自分のやりたいことでさ。とりあえずやりすぎちゃって血流してたら、集まってくるって。
K:まあこの日(4/10)は俺ひとりでぶっ潰してやるけどね。このイベントは続けていったほうがいいよ。俺も「EL NINO」ってイベント12年くらい続けてるけど、自分が見たいひとや好きなひとを呼んでる。ジャンルはないほうがいいね。とくに女だからとてもつらいかもしれないけど、やり続けるのはいいことだよ。
――うう、なんかしんみりしてきました。この際言ってしまうと、モチベーションはかなしみなんです。今日(3/22)も親父の還暦の誕生日で……でも会いたくても会えなくて、おふたりの取材が入って救われてるようなところがあって……(筆者の暴走がはじまる)
K:あのなあ、親父の与太話聞いてもらおうとしてるのか。
M:俺も色々あったけどさ、俺からすりゃ、あんたのその関係は恵まれてるよ。でも、そんなの俺の音楽背景になんにも関係ないけどね。
――とにかくねえ、一流のインタビュアーじゃないんですよ私は……
M:五流なら五流らしいインタビューすりゃいいじゃん。こんなトークスクリプトみたいなの作ってさ、うまいこと起承転結考えちゃってさ。
――さっきかなしみについて話しましたけど、KILLER-BONGさんの曲を深夜に聞くと本当にかなしくなります……
K:俺はね、どうしても夜の寒いときとかに作るから、さみしい曲になるんじゃないの。俺たちが音楽家としてKILLER-BONGと下山でいる限り、お前もお前としていい文書けば、3人で5年後くらいも会ってるんじゃないの。まあかなしくなるなんて野暮だよ。かなしくなりたくねえからやってんだから。
M:かなしいから、それを吹き飛ばすためにやってるってところもあるよ。
K:……やっぱりかなしいほうがいいよ。かなしい奴か金持ちしか音楽やれねえんだから。そうでしょ?いつもいいこと先にやんのは金持ちで、いつも斬新なこと先にやんのは貧乏人のような。そしてその中間のひとは必ず途中でやめていって、サラリーマンになってる。ん?なんでそんな泣きそうな顔してるんだよ、お前泣き上戸なんだろ!お前のかなしさ持ち込んできて、どんだけ俺をかなしい気持ちにさせてんの。第一、声がね、俺がミックスアウトするときに絶対カットする音域だよ。俺も出せない痛い音域。まったく糞なインタビュアーだな(笑)
M:誰に相談してるんだよ、相手間違いすぎだろ(笑)俺たちはホストじゃねえぞ。
――事態を転覆させることはできるんでしょうか。
K:俺「BLACK TERROR」とか、1円もないけどやっちゃうけどね。なんとかなってれば生きてるってことなんだよ。なにか決めつけたときって行動ができないけど、すべてはあとから考えればいいんだもん。きみもやりたいようにやればいいんじゃないの。次も、また次も……それがいかれたイベントやってるライターとして、きみの名前が出てくることなんじゃないの。
――なんだか筆者の人生相談の様相を呈してきました。
K:次のインタビューでは金欲しいって話しようかな。そうやってひとを茶化したほうがおもしろいじゃない。きみの話はかなしい話だ。俺がかつて、いろんなことに対してなぜなんだって思ってたときの気持ちみたいな話だ。いまはもうなんとも思ってないし忘れちまったね。かなしいってのはひとに教えてもらうことであってさ、自分のかなしみは通り過ぎたね。それよりかなしいことはあんのかいって。
――はい。
K:敬語使わないからって怒るようなひとなんていらねえっていう、実力で勝負しようじゃねえかっていう、それが音楽だろ。会社員みたいに何年もいて部署があがっていく立場じゃなくて、俺たちはすぐその部署を手に入れたいわけだから。金や年齢をちらつかせてどうこうするんじゃなくて、常に勝負してんだから。だけど金は欲しい。矛盾してんだから。矛盾した世の中を断つためには、まず欲しいものを手に入れたほうがいいんじゃないの。俺は、金はあとからついてくると信じてる。だめならまた手に入れるだけだろ。
――大それた気持ちはもってない?
K:俺の幼稚園のときの将来の夢は、桃になりたい。小学校のときの夢は、世界征服したい。ずっとそう思ってるけどね。
M:桃から世界へ(笑)
K:音楽こそが一番近いんじゃない。それにまつわるしがらみは多いけどさ、人前に出る以上、それは当たり前だと思う。
M:いいじゃん、やりたいようにやろうよ。ひっくり返そうよ。
K:世界は肩並びだから、誰か崇めてるようじゃ音楽は発展しないと思うけどね。俺はいつもファンの奴ほどやってやりたいと思ってる。4/10、とにかく楽しみにしてるよ。
●Information
ANNIE FUKU presents HERE AND THERE vol.1~RED SPRING~
2013年4月10日(水、死闘の日)@渋谷clubasia
開場18:30/開演19:00 前売3000円/当日3500円(ドリンク代別)
出演:ZAZEN BOYS、下山(GEZAN)、KILLER-BONG、5lack
【総合インフォメーション】
http://twitter.com/AnnieFuku(主催者直通)
【会場インフォメーション】
http://asia.staging.iflyer.jp/venue/flyer/124504
【予約・購入】
hereandthere2013@yahoo.co.jp(主催者直通)
03-5458-2551(渋谷clubasia)
http://cc.eplus.jp/c/tl?i=giFmKjQ268HxEBhm(e+)
●Profile
KILLER-BONG
最も黒い男
マヒトゥ・ザ・ピーポー(下山)
ロックバンド「下山」のギターボーカル