――RADIOHEADはどのアルバムが入り口?
笹口:高校で『OK COMPUTER』ですね。トム・ヨークが沈んでいくビデオがなぜかNHKで流れてたんですよ。
――“NO SURPRISES”ね。
笹口:UK特集みたいのをやってて、それでOASISとかBLURも知ったんですけど、でも『OK COMPUTER』ばっか聴いてて、高校時代友達がまったくできなくなってしまった感じです(笑)。
――RADIOHEADのせいで(笑)。
笹口:せいってことにしてるんですけど……完全に自分のせいです(笑)。
――ちなみに、少し前にPredawnに取材をしたんだけど、あの子も中学時代までは社交的だったんだけど、高校から暗くなって、ずっとRADIOHEAD聴いてたって言ってた。
笹口:あ、すげえシンパシー感じる。まったく一緒ですよ(笑)。でも、女の子で暗いのと、男の暗いのって結構違いますよね。女の子だったらよかったんですけど(笑)。
――確かに(笑)。じゃあ、RADIOHEADで一番好きなアルバムも『OK COMPUTER』?
笹口:思い入れが深いのはそれですけど、でも全部好きですね。
――でも、時期によって結構音楽性違うから、好みもあるんじゃない?
笹口:僕はもう「RADIOHEADがやるなら」って感じです(笑)。
――昔のギターロックも、今のミニマルなのも、どっちもアリ?
笹口:ギターロックで始めたら、ほとんどのバンドがずっとギターロックじゃないですか? でも、RADIOHEADはギターロックやったら、「もういいや」って次に行きますよね。たまに「やっぱギターもいいな」ってやったりするけど、同じことは絶対しないっていう、そこが好きですね。
――じゃあ、うみのてもこれから変化していく?
笹口:そうありたいですね。なんにせよギターをホントに……
――「ギター弾きたくない」みたいなことも最近言ってるよね?
笹口:でも、今はギターでも何でもいいから音楽がやりたいです。最近事務作業ばっかりやってて、まったくギター触ってないんですよ。なんでこんなにやることが終わらないのかっていう……
――それは主にソロってことだよね? うみのてはスタッフさんがいるわけでしょ?
笹口:いや、うみのてもほぼ自分です。ジャケットとかフライヤーのデザインも自分だし、お金面とか宣伝はやってくれますけど、制作はほぼ自分です。いいデザイナーさんいないですかね? 「いいデザイナー」に会ったことがなくて、頼もうとしたこと2~3回あるんですけど、最初の案が上がってきた時点で拒否反応しかなくて(笑)、それがわりとトラウマになってて。
――それって、自分の世界観みたいなものが強烈にあるっていうことだろうね。
笹口:そうなのかな……
――最初の案の印象がいまいちでも摺り寄せる作業をみんなしてると思うし、中には音楽にしか興味なくてデザインはお任せみたいな人もいるとは思うよ。
笹口:そのときはホントに「あれっ?」って感じだったから、だったら自分でやった方が早いと思っちゃったんですよね。
――ソロを自主レーベルからバンバン出してるぐらいだから、基本的に裏方作業も嫌いではないんだろうけどね。ただ、あんまりそれに時間をとられてもっていう。
笹口:まあ、自分で作るのが好きっちゃ好きですね。自分で作って自分で売る方が嬉しいです。
――そのソロの最新作である“ロックンロール(笑)”にはRADIOHEADが出演した2003年のサマーソニックのことも歌われてるけど、実際に行ったの?
笹口:行きました。あれで人生を狂わされました……全部RADOHEADのせいにしてるんで(笑)。ロックのライブに行くこと自体ほぼ初めてだったんです。熊本にいたときは引き籠りだったんで、熊本のライブハウスとか一個も知らないです。でも、今度うみのてで凱旋するんですよ。キャリア初凱旋、NAVAROっていうところに出るんです。
――楽しみ?
笹口:どうだろう……友達はいないんですけど、お母さんの知り合いがいっぱい来ると思うんで、絶対やりにくいですね(笑)。